【青い街灯の下で】
第一章 僕とリサ 3
ねえ、青山さん。
この間、ここであたしが何をしていたか見ていたでしょう?
ふふふ、ちゃんと渡せたわ。
わたしって優柔不断な人間だと思ってたけれど、いざという時には直情的に行動する人間なのだということがわかったわ。
それに、彼、褒めてくれたのよ。
頑張った甲斐があったわ、ああ、よかった。
今は何も憂うことがなくて、すごくいい気分よ。
それもこれも、青山さんがいてくれたからだわ。
本当に、ありがとう。
すごく感謝してる。
また、悩み事ができたら、来ても・・・いいよね?
青山さんがいてくれるからあたし、がんばれるの。
◆ ◆ ◆
彼女の笑顔はなんてまぶしいんだろう。
僕はそれだけで、胸があたたかくなる。
彼女の悩みがなくなるときは、必然的に僕との別れでもあるのに。
・・・だからこそ、切なさは増す。
彼女が僕をこころの拠り所としてくれているという事実だけが、僕に「僕」の存在する意義を与えてくれているのだ。
高望みはしないでいよう。
それは、僕の役割から言えば、求められないことだ。
◆ ◆ ◆
ねえ、青山さん。
わたし、頑張ったよね。
いろんなことを何度も何度も考えたわ。
あなたにもたくさん相談したわね。
本当に、辛かった・・・
でも、今にしてみると、総てが一瞬の出来事のようだったわ。
後悔はしてないの。
結果がどうあっても、あたしがどう行動したのかが大切なのよ。
わたしが何を考えたかが大切なのよ。
時間は戻らないんだから。
ええ、後悔してるわけじゃないわ。
ただ、だたね・・・
わたしがもう少し優柔不断でありえたなら、今と違ったあたしがここにいたんだろうと思うのよ。
ねえ、青山さん。
あたし、変わったかしら?少しは成長できた?
これでよかったんだよね?
後悔したくないよ・・・
◆ ◆ ◆
彼女は感情的に僕に話しかける。
僕は、知りたい。彼女と彼がどうなったのかを。
しかし、聞き返すことを求められていない僕はあまりに非力だ。
翼をもがれた小鳥のように、ただなす術もなく耳を傾けるだけ。
もてあましたこの感情を、僕はどうすればいいのだろう。