【青い街灯の下で】
第一章 僕とリサ 4
ねえ、青山さん。
この間の話ね、忘れてちょうだい。
馬鹿なことだったと思ってさ。
わたし、どうかしてたわ。
あのときのわたしは直情的だったわ。
今はそうじゃない、余裕があるわ。
心にも、時間にもね。
――余裕って大事ね。
今、痛切に感じているわ。
辛いときはいつでも余裕がなかったんだって、思うわ。
まあ、そのときは気づかないんだけどね。
――どうして、そのときに気づけなかったのかしら。
そうしたら、あたしだって、もっと彼に・・・・・・・
◆ ◆ ◆
あいもかわらず、彼女の口からは「彼」のことばかりこぼれ落ちる。
彼女の気持ちが僕にないことはわかっているんだ。
僕は無駄なことはしない主義だ。
けれど。
伝えられないということは、こんなにも哀しいことなのか。
◆ ◆ ◆
あたし、この青い灯り、ちっとも怖いなんて思わないわ。
どうしてはじめてこの街灯を見た人は怖いと感じるのかしらね。
この青い灯りはどこにでもある黄色や白の灯りよりも、暖かい、とあたしは思うのよ。
ねえ、そうでしょう?
そうだ、あたし、あなたのこと、青・・・青山さんって呼ぶことにするわ。