【青い街灯の下で】

 第二章 城嶋 5

 

 約束の日曜日。

 城嶋は初めての店ということもあって早めに家を出た。

 RUTE17を愛車で走る。

 自分に渡したいものって何なのだろうか?

 いくら早く渡したいといっても、二人きりで学外で会うなんて「デート」ではないのか?

 リサはいったいどういうつもりなんだろうか・・・

 一人で運転しているとつらつら考えてしまうのだった。

 

 BLUEという喫茶店は確かに国道沿いにあった。

 看板もあるにはあったが、まわりのガソリンスタンドや大型リサイクルショップに気圧され気味である。

 店もまたしかりで、まるで童話のお菓子の家のようなこじんまりとしたかわいらしい外装なのだ。

 それなのに、庭ともいえる駐車場のスペースはかなり広いため、店は奥に引っ込んでいるのだ。

 これでは見落としても仕方がないのではないだろうか?

車を止め、城嶋は少し緊張しながら店の扉を引いた。

 

からん、と音がした。

「いらっしゃいませ」

外見よりも広く感じる店内のカウンターには、白いシャツに黒いエプロンをつけた40歳くらいの男性(例のマスターだろう)と

若い女の子(アルバイトの大学生だろうか)がおり、にこやかに迎えてくれた。

 「おひとりさまですか」

 「いいえ、まちあわせで」

 シャンソンが聴こえてくる。

 アレンジが加えてあるのか、城嶋が苦手なシャンソンの重苦しい雰囲気は軽減されて、代わりにアコーディオンの軽快なリズムが店内に響いている。

 「あ。もしかして、上田さんの」

 「ええ、そうです」

 リサはもう来ているのだろうか?

 「リサちゃんから聞いてるよ。

 随分早いね。

 1時頃って聞いていたのになぁ。

リサちゃんはまだ来てないよ」

 「え・・・」

 慌てて時計を見れば、1230分。

 これは確かにまちあわせにしても早すぎる。

 「す、すみません。」

 「いいよ、気にしないで。

中で座って待っているといいよ。

東間さん、4番にお通しして。」

 「はい、マスター」

 なるほど、リサはマスターと唯の顔見知りというわけでもなさそうだ。

 城嶋は軽いジェラシーを覚えながら、窓際の2人用の席に腰をおろした。

 案内してくれた店員が好奇心をもった瞳でみつめていることも知らずに。

 

 

 

 

 

 

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